信じたい話ほど疑って下さい。

あやしいかも。そう思った場合,まず手を出さないのが100%正解です。

あなたの直観は外れていません。

高齢化社会から超高齢化社会に移行しはじめ,景気がますます不安視される今,怪しい話はウヨウヨしています。

 

そして,いつになっても美味しい話に飛びついてしまうのは,耳障りの良い美味しい話を信じたい人の心理につけ込まれるからです。そして詐欺はなくなりません。

 

結論から言うと,「美味しい話を信じたい。」という気持ちはみんなあり,その結果,人を信じてしまいやすいので,そこに注意して「美味しい話は存在しない」を徹底して下さい。ということです。

 

基本的に自分にとって都合の悪い話は信じたくない,信じないということは分かると思いますが,逆に,基本的に疑心暗鬼な人でも,自分に都合のいい話,美味しい話だけは何故か信じてしまいます。信じたいからです。

 

法律相談でもよくあります。法律相談の結果,希望するとおりの回答であれば「ありがとうございました。」となりますが,希望しない内容の回答の場合,「泣き寝入りしないといけないのですか?」という人は多く,人によってはその結論を信じたくないがゆえに実益のない,そして専門家相手の無謀な法律解釈論議を弁護士にしかけてしまいます。その法律相談担当の弁護士一人を説得しても何の解決にもならないのにです。そして共通しています。その議論についても結局自分に不利になったとたん「あなたが何を言っているのかわからない」と急に法律の素人を主張しはじめ,議論が成立しないのです。なので当職は,そもそも法律論の議論になりそうな場合には,「法律相談は,法律解釈についての議論をする場ではありません」と回答しています。

もちろん「泣き寝入りをするかどうかは私の決めるところではありません。」と回答することもあります。

 

話を戻しますが,話を持ってきた人が信用できると個人的に信じた時点で,信じたい話を信じてしまうのです。昔から「美味しい話は,みんな独り占めするもの。あなたに寄ってきませんよ」と言われ,そのことを理解していても「この人は違う。」と儲け話を信じたい思いが強くて,矛盾やおかしな部分は信じたくないから目をつむり,熟慮することを面倒くさがり,美味しい話に乗ってしまうのです。老後に対する不安が強い高齢者だけでなく,お金に困っている人などメンタルが弱っているときは特に危険です。

 

一般に美味しい話を持ってこられた場合,美味しい話はその人を信じなければ夢を見れないのですから,結局人はその話のおかしさよりも,「夢を見たい」=「信じる」ということになりやすいということです。

仮に話のおかしさに気づいてその疑問をぶつけ,その疑問についてスマートに回答された場合,要は美味しい話を信じたいのですから,その人に簡単に好印象をもち簡単に信じてしまいます。

 

そして,美味しい話は専門性が高くてあなたが理解しにくい難しい話も多く,そもそもあなたが専門家でない以上,本当に確認しておくべき重要な質問ができているはずもありません。

そして,美味しい話に対して素人がよくする想定質問集とその回答集を詐欺師は十分に頭に入れています。

 

その話をもってきたのが,親族や古い友人でもその話は疑うほうがいいでしょう。

それこそ法律相談をおすすめします。

 

人を疑えと言っているのではありません。話の内容を疑えと言っているのです。

 

あなたの親族や本当の友人は,当然あなたとの親交を最優先にしていますので,詐欺話であると知った上で話をもってくる可能性は小さいでしょう。

とすると本当にあなたのことを大事にしている人なのに話を持ってくるのは,それは話を持ってきた本人自身も騙されてお金を出しているか,もしくは出そうとしていることが多いです。その本人自身が騙されてているかどうかは又聞きの話である以上あなたにはもはや判断する資料もなく不可能と言わざるを得ません。そして原理原則にもどり,「美味しい話とツチノコは存在しない(存在するとしてもその可能性は,宝くじで10億円当てるよりも遙かに低い)」と判断すべきでありあなたと縁がないということです。 

 

友人自身もあやしいと思った場合,あなたと親交を壊すようなややこしい話となることはなるべく避けるので,万一自身が手を出してもあなたに話をすることはしません。それが友情だからです。それでも話をした時点で友人はあなたを親友と思っていないということです。

 「本当に儲かる話は現代にはまずない」それを頭では理解している友人は,自身が美味しい話を信じたとしても,本当に儲かるかどうかあなたとの親交を壊す可能性があるのでよっぽどの確信がないかぎり紹介すべきか悩みます。

そして本人に自信がない以上その儲け話をあなたにして友情を壊すことを恐れるためにその話はしません。当然ですがお金の貸し借りの話もしません。

 

するときは,美味しい話を信じたい友人が,心強い道連れを必要とするのみであり,友人はあなたを利用しているつまり親友と思っていないということです。

または他人を紹介しないと友人自身に損失がでるので,というパターンであれば最悪です。

つまりあなたの損失についての配慮はなく,ましてやあなたが儲ける話をするためではありません。

要はその場合も結局その友人自身があなたの大切な友人でないことを意味します。

 

つまり本当にあなたを思う一生の友人や大切な親族は,利益をうたう話をもってくることはありません。

利益をうたう話を持ってきた時点で,あなたの大切な友人ではないということです。

  

繰り返しますが,信じたいし夢も見たいでしょうが世の中に本当に美味しい話は存在しません。

仮にあっても美味しい話を広める根拠もなければ,少なくともあなたに回ってくる根拠もありません。

 

夢を見たい人がつけ込まれて騙されます。

自分に都合のいい事実のみ信じたい,現実逃避をしたい心理につけ込まれます。

夢を見ている間は幸せです。詐欺師が「夢が見れたんだから,いいだろ。」というのはそういうことです。

その結果現状よりも更に不幸になります。

 

それでも信じたいあなた,必ず「お金を出す前に」弁護士に相談して下さい。

あなたが信じる根拠も踏まえて,信じるべきでないという話を説明できると思います。

それでも,信じたくない弁護士の話よりも信じたい詐欺話を信じることもあるでしょう。しかし,その場合には,詐欺の可能性や専門的な話について十分に説明を受けて把握した上で出資するわけですから,知らずに出資する場合とは格段に話が変わってきます。

 

「お金を出してからの弁護士相談」は非常に多いですが,実際に返金が期待できない場合が圧倒的多数です。ご相談の時点では返金の見込みがはっきりしないのに返金のための費用や労力もかけるだけでなく,良くて返金されても弁護士費用は自腹になりますので,「少なくともあなたに大きな損害が残ることだけは確実な段階」だからです。

 

「必ず,お金をだす前にご相談下さい。」